デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムの急性毒性(LD50)はマウス(雌)の場合、静脈内注射で
1996 などが報告されている。
Shinkaiらは、肺癌患者に対する抗悪性腫瘍薬投与に伴う悪心・嘔吐に対して、デキサメタゾンのランダム化比較試験を報告した。適格条件を、肺癌患者、前抗悪性腫瘍薬投与なし、PS0-3、除外条件を、コントロール不良の糖尿病、活動性の消化性潰瘍、精神疾患とした。全ての患者から署名でのインフォームド・コンセントが得られた。全ての患者にシスプラチン80-120mg/m2が投与された。小細胞性肺癌患者には、加えてエトポシド100mg/m2day1-3が投与され、非小細胞性肺癌患者には加えてビンデシン3mg/m2が毎週投与された。組織型(小細胞性、非小細胞性)で層別化され、ランダムに割りつけられた。シスプラチン80mg/m2の投与をされた患者はmetoclopramideまたは、デキサメタゾンに割りつけられた。シスプラチン120mg/m2の投与をされた患者は、metoclopramide+デキサメタゾンまたは、metoclopramide+プラセーボに割りつけられた。Metoclopramideは2mg/kg静注2時間毎4回投与された。デキサメタゾンは、シスプラチン投与30分前に16mg点滴静注され、その後、8mgをシスプラチン投与後1.5時間後、3.5時間後、5.5時間後に投与された。Promethazine25-50mg静注がmetoclopramideの錘体外路症状予防のため両群に投与された。その他の制吐剤はシスプラチン投与12時間前、24時間後まで投与禁止された。
Metoclopramide対デキサメタゾンの結果:1984-1985まで29例が登録された。表1に患者背景を示す。
表1
急性嘔吐完全制御率はmetoclopramideで39%、デキサメタゾンで27%であった。遅発性嘔吐完全制御率はmetoclopramideで67%、デキサメタゾンで55%であった。共に有意差は認められなかった。有害事象を表2に示す。毒性は全般的に軽微であった。Metoclopramideで眠気、下痢が多かった。
表2
Metoclopramide+プラセーボ対metoclopramide+デキサメタゾンの結果:1984-1986年まで23例が登録された。表3に患者背景を示す。
表3
最初のコースでの急性嘔吐完全制御率はmetoclopramide+プラセーボで27%、metoclopramide+デキサメタゾンで92%であった。遅発性嘔吐完全制御率はmetoclopramide+プラセーボで37%、metoclopramide+デキサメタゾンで23%であった。有害事象を表4に示す。Metoclopramideにデキサメタゾンを加えることで、特徴的な有害事象は認められなかった。
表4
SekineらはJCOG(Japan Clinical Oncology Group)の臨床試験として、肺癌患者に対する抗悪性腫瘍薬投与に伴う悪心・嘔吐に対するデキサメタゾンの臨床第二相試験の結果を報告した。適格条件を、肺癌患者、年齢15-74歳、PS0-2、前抗悪性腫瘍薬投与なし、十分な臓器機能を有する患者とし、除外条件をコントロールされない脳転移、糖尿病、心疾患、精神疾患、活動性の消化性潰瘍・感染症、B型肝炎、ステロイドに対する過敏症の既往のある患者とした。シスプラチン80mg/m2day1、ビンデシン3mg/m2day1 and 8,マイトマイシン8mg/m2day1または、シスプラチン80mg/m2day1、エトポシド100mg/m2day1-3を投与した。制吐剤として、グラニセトロン40ug/kgday1、metoclopramide10mg1日3回day2-5、デキサメタゾン32mg/m2day1-3,16mg/m2day4,8mg/m2day5に投与した。
33例が登録された。患者の背景は、21例が男性、年齢の中央値は57歳(40-74歳)、PS0が3例、1が29例、2が1例、シスプラチン/ビンデシン/マイトマイシンが29例、シスプラチン/ビンデシンが1例、シスプラチン/エトポシドが3例であった。急性嘔吐完全制御率は85%であった。遅発性嘔吐完全制御率は60%であった。有害事象は、116-160mg/dlの高血糖が42%、161-250mg/dlの高血糖が9%に見られたが、治療は有さなかった。しゃっくり61%、落ち着かないなどの症状が18%に見られ、metoclopramideを中止した。便秘73%、眠気36%、頭痛30%、めまい30%、振戦12%、下痢12%であったが、全て軽度であり、自然消失した。
6.本剤の安全性に関する評価
7.本剤の投与量の妥当性について
デキサメタゾンならびにデキサメタゾンリン酸エステル単回投与における
中等症~重症のクループに対するデキサメタゾン療法の有益性は,十分に立証されている.しかし,クループを呈する小児のほとんどは軽症であり,このような小児でデキサメタゾン療法を行った場合に,より重症のクループを呈する小児と同程度の利益が得られるのかどうかは明らかではない.
4 施設の小児救急外来で二重盲検試験を実施し,軽症のクループの小児 720 例を,デキサメタゾン(0.6 mg/kg 体重)またはプラセボの単回経口投与に無作為に割付けた.小児らは,Westley らのクループ評価法でスコア 2 以下と定義される,軽症のクループであった.主要転帰は,治療後 7 日以内にクループで医療機関を再受診することとした.副次的転帰は,治療後 1,2,3 日目のクループ症状の持続とした.その他の転帰は,経済的負担,クループで小児の睡眠が妨げられた時間,小児の疾患に対する保護者側のストレスとした.
単回頚部筋肉内投与(デキサメタゾンとして0.06 mg/kg体重)し、最終投与後1~8回 ..
ベースライン時の臨床的特性は,両群で同様であった.再受診率はデキサメタゾン群で有意に低かった(7.3% 対 15.3%,P<0.001).デキサメタゾン群では,クループ症状がより早期に軽快し(P=0.003),睡眠が妨げられた時間が短く(P<0.001),保護者側のストレスが軽減していた(P<0.001).
放射線療法の併用を予定している症例8.5-HT3受容体拮抗薬の成分に対して過敏症の既往歴のある症例9.デキサメタゾン製剤の成分に対し過敏症の既往歴のある症例10.ステロイドを定期内服中の症例11.オピオイド開始後、悪心の症状コントロールがついていない症例12.妊婦、授乳婦又は研究期間中避妊することに同意しない男性又は女性・妊娠の可能性がある女性(閉経前の女性又は最終月経後1年未満の女性)に対しては、十分に問診するとともに、登録前に妊娠テストを実施し、陰性であることを確認する13.過去にパロノセトロンの投与歴があることが判明している症例14.本研究の手順に関して協力する能力又は意思を持たない症例15.制吐治療を目的とした他の臨床研究に参加している症例16.担当医師が本研究の対象として不適当と判断した症例
CONSOLE試験単回投与パート | 臨床成績 | 製品情報 | アロカリス
軽症のクループを呈する小児にとって,デキサメタゾンは有効な治療法であり,小さいながらも重要な,一貫性のある臨床的・経済的利益をもたらす.この治療法の長期的な効果は不明であるが,今回のデータからは,クループを患う小児には,全例にではないにしてもその大部分に対し,デキサメタゾンの使用が支持される.