デキサメタゾンは種類や用途によって、表れる副作用が異なります。
合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)のひとつであるデキサメタゾン(商品名:デカドロン®)は、抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫抑制作用などの作用を有することが知られています。重症感染症を含めた種々の適応症を有しており、1960年代から現在に至るまで、様々な疾患に対して汎用されてきた薬剤です。
トランプが投与された「デキサメタゾン」、専門家は人格変化や思考困難などの副作用も指摘
という情報だけを鵜呑みしてしまい、副作用などの服用リスクを理解しないまま、デキサメタゾンを服用してしまった方もいるようです。
英国・RECOVERY試験共同研究グループのPeter Horby氏らは 、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した患者のうち、侵襲的人工呼吸器または酸素吸入を使用した患者に対するデキサメタゾンの投与が28日死亡率を低下させることを明らかにした。NEJM誌オンライン版2020年7月17日号に掲載報告。なお、この論文は、7月17日に改訂された厚生労働省が発刊する「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第2.2版」の“日本国内で承認されている医薬品”のデキサメタゾン投与の参考文献である。
この研究では、2020年3月19日~6月8日の期間にCOVID-19入院患者へのデキサメタゾン投与における有用性を把握するため、非盲検試験が行われた。対象者をデキサメタゾン投与群と通常ケア群にランダムに割り当て28日死亡率を評価し、人工呼吸器管理や酸素吸入の有無によるデキサメタゾン投与の有用性を検証した。デキサメタゾン群には1日1回6 mgを最大10日間、経口または点滴静注で投与した。通常ケア群には、日常臨床でデキサメタゾンを使用している患者が8%含まれていた。薬物療法として、アジスロマイシンは両群で使用(デキサメタゾン群:24% vs.通常ケア群:25%)、そのほか通常ケア群ではヒドロキシクロロキン、ロピナビル・リトナビル、IL-6アンタゴニストなどが投与された。また、レムデシビルは2020年5月26日より使用可能となり一部の症例で投与された。
主な結果は以下のとおり。
・全参加者11,303例のうち、他の治療を受けるなどの理由で4,878例が除外された。残り6,425例をデキサメタゾン投与群2,104例(平均年齢±SD:66.9±15.4歳)と通常ケア群4,321例(平均年齢±SD:65.8±15.8歳)に割り付けた。
・6,425例の呼吸器補助別の割り付けは、侵襲的人工呼吸器管理が1,007例、酸素吸入が3,883例、呼吸器補助なしは1,535例だった。
・28日死亡率は、デキサメタゾン群が482例(22.9%)、通常ケア群は1,110例(25.7%)で、デキサメタゾン群で有意に低下した(Rate Ratio[率比]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.75〜0.93、p<0.001)。
・呼吸器補助レベルを考慮した場合、侵襲的人工呼吸器管理の患者において絶対的・相対的ベネフィットが示される傾向で、デキサメタゾン群は通常ケア群より死亡発生率が低く(29.3% vs.41.4%、率比:0.64、95%CI:0.51~0.81)、酸素吸入群においても同様だった(23.3% vs.26.2%、率比:0.82、95%CI:0.72~0.94)。しかし、呼吸器補助を受けていない患者において、デキサメタゾンの効果は明らかではなかった(17.8% vs.14.%、率比:1.19、95%CI:0.91~1.55)。
・副次評価項目として、デキサメタゾン群は通常ケア群より入院期間が短く(平均入院日数:12日 vs.13日)、28日以内の退院の可能性が高かった(率比:1.10、95%CI:1.03~1.17)。この最大因子は侵襲的人工呼吸器管理だった。
・呼吸器補助を受けていない患者において、副次評価項目である侵襲的人工呼吸器管理や死亡の複合は通常ケア群よりデキサメタゾン群で低かった(率比:0.92、95%CI:0.84~1.01)。
【NHK】イギリス、オックスフォード大学の研究チームは、炎症を抑える作用のある既存の薬を新型コロナウイルスの複数の患者に投与した結…
新型コロナウイルス感染症の重症患者では、肺障害および多臓器不全をもたらす全身性炎症反応を発現することが確認されています。ステロイドは抗炎症作用を有するため、デキサメタゾンにはこれらの有害な炎症反応を予防または抑制する可能性が示唆されており、前述の試験によって効果が裏付けられました。
重度の低酸素血症を呈する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の成人入院患者において、デキサメタゾンの12mg投与は6mgと比較して、28日後の生命維持装置を使用しない生存日数を改善せず、28日と90日後の死亡率にも差はないことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMarie W. Munch氏らCOVID STEROID 2 Trial Groupが実施した「COVID STEROID 2試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2021年10月21日号で報告された。
本研究は、重度の低酸素血症を有するCOVID-19患者におけるデキサメタゾン12mgと6mgの有効性の比較を目的とする医師主導の二重盲検無作為化試験であり、2020年8月27日~2021年5月20日の期間に、4ヵ国(デンマーク、インド、スウェーデン、スイス)の26病院で行われた(Novo Nordisk財団などの助成を受けた)。
対象は、年齢18歳以上、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染が確定されて入院し、(1)酸素補充療法(流量≧10L/分)、(2)低酸素血症に対する非侵襲的換気または持続陽圧呼吸療法、(3)侵襲的機械換気のいずれかを受けている患者であった。
被験者は、最長10日間、デキサメタゾン12mgを静脈内投与する群または同6mgを投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。
主要アウトカムは、28日時点の生命維持装置(侵襲的機械換気、循環補助、腎代替療法)なしでの生存日数とし、層別変数で補正された。副次アウトカムは事前に8つが設定され、今回の解析では、そのうち5つ(90日時点の生命維持装置なしの生存日数、90日時点の生存退院日数、28日時点と90日時点の死亡、28日時点の1つ以上の重篤な有害反応)が評価された。
982例(年齢中央値65歳[IQR:55~73]、女性31%)が解析に含まれ、デキサメタゾン12mg群に497例、同6mg群に485例が割り付けられた。このうち971例(12mg群491例、6mg群480例)で主要アウトカムのデータが得られた。介入期間中央値は両群とも7日で、12mg群の9例(1.8%)、6mg群の11例(2.3%)が医師の指示に反して28日以内に退院した。
28日時点の生命維持装置なしの生存日数中央値は、12mg群が22.0日(IQR:6.0~28.0)、6mg群は20.5日(4.0~28.0)であり、両群間に有意な差は認められなかった(補正後平均群間差:1.3日、95%信頼区間[CI]:0~2.6、p=0.07)。
副次アウトカムである90日時点の生命維持装置なしの生存日数中央値は、12mg群が84.0日(IQR:9.3~90.0)、6mg群は80.0日(6.0~90.0)であった(補正後平均群間差:4.4日、99%CI:-1.6~10.4)。また、90日時点の生存退院日数は、それぞれ61.5日(0~78.0)および48.0日(0~76.0)だった(4.1日、-1.3~9.5)。
さらに、28日時点の死亡率は、12mg群が27.1%、6mg群は32.3%(補正後相対リスク[RR]:0.86、99%CI:0.68~1.08)、90日時点の死亡率は、それぞれ32.0%および37.7%(0.87、0.70~1.07)であり、いずれも有意差はみられなかった。
28日までに1つ以上の重篤な有害反応(敗血症性ショック、侵襲性真菌症、臨床的に重要な消化管出血、デキサメタゾンに対するアナフィラキシー反応)が発現した患者の割合は、12mg群が11.3%、6mg群は13.4%であり、両群間に差はなかった(補正後RR:0.83、99%CI:0.54~1.29)。体外式膜型人工肺(ECMO)は、12mg群が3例(0.6%)、6mg群は14例(2.9%)で使用された。
なお著者は結果について、「本試験は、有意差を同定するには、検出力が十分でなかった可能性がある」としている。
副作用に十分注意しながら酸素投与期間中は1日1回デキサメタゾン
デキサメタゾンの主な副作用としては、感染症の増悪、続発性副腎皮質機能不全、糖尿病、消化性潰瘍、消化管穿孔、膵炎、精神変調、緑内障、血栓塞栓症などが報告されています。服用中止後に、発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、ショック等の離脱症状があらわれる場合もあるので、注意が必要です。
副作用の発現率は「飲み方」でも変わる事もあるので、デキサメタゾンの服用を検討している方は、正しい飲み方をしっかり把握しておきましょう。
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今まで解説した副作用は、ため、新型コロナウイルスの治療でデキサメタゾンを使用した場合、全く異なる副作用が表れる可能性もあります。
また、デキサメタゾンの服用により、誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、消化性潰瘍、糖尿病、精神障害などの重篤な副作用があらわれる例が報告されています。これらの副作用があらわれた場合における対応について、適切な指導を行うことも求められています。
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あくまでもステロイドの長期使用ですので、デキサメタゾンに限った副作用ではありません。
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しかし、デキサメタゾンもステロイドに分類されるため、上記のような副作用が出る可能性はあると考えておきましょう。
肝臓や腎臓の機能が悪化するという副作用が出ることがあるので、使用中は定期的に血液検査を受けていただく必要があります。 デキサメタゾン
デキサメタゾンを服用する方の中には、副作用が出やすかったり症状が悪化したりする方も存在します。
コロナ治療のステロイド、投与早すぎると症状悪化の恐れ 報告相次ぐ
新型コロナウイルス感染症の治療薬として国内で2番目に承認された「デキサメタゾン」という薬をご存知でしょうか。合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)で、免疫抑制、抗炎症、抗アレルギー作用があります。
Q&A(COVID-19):デキサメタゾンを含む副腎皮質ステロイド
デキサメタゾンは、新型コロナウイルス感染症に感染して症状が悪化し、酸素吸入、または人工呼吸器を付ける状態になった方に投与すると、抗炎症作用によって有害な炎症反応を抑制、または予防する可能性があると期待されています。
しかしようなので、使用するタイミングが大切です。
[PDF] デキサメタゾン COVID-19 小児患者に対する治療薬としての位置付け
ステロイド薬であるデキサメタゾンは、多めの量を長期服用するといろいろな副作用が出やすくなります。その場合は定期的に検査を受ける必要があります。
コロナ治療薬「デキサメタゾン」とは? | ぽちたま薬局スタッフブログ
コロナ治療として服用する場合、デキサメタゾンとして6mgを1日1回10日間服用することになります。
[PDF] COVID-19 の薬物治療ガイドライン version 4 1
当院(日本鋼管病院/こうかんクリニック)では,筆者と薬剤部で協力してデキサメタゾン6mgと同力価のステロイド換算表を作成し,院内で周知することとした。デキサメタゾンはCOVID-19治療以外でも,たとえば様々な癌腫の治療としても重要な薬剤であり,本当に必要な症例に適正使用されるよう努めた。実際には,プレドニゾロン内服に変更して,多くの症例は乗り切った印象(下記の処方例)がある。