シェルビーアジアが作ったコブラ解説資料・・・CSX4000、6000、APモデル(=アジアパシフィックモデル)の特徴が詳細に書いてあります


オプションでセレクトされたサイドマフラーから放たれる爆音は、このクルマがオリジナルで生きていた時代へタイムスリップさせてくれる。ドッドッド…という重低音は、病み付きになってしまう。ただし、乗降性は最悪の類(笑)。


シェルビーコブラ 427S/C 50周年記念 限定50台中の3台 ..

内装はバーガンディ色のカスタムレザーシートを採用し、ビレットのダッシュパネルは特注品である。メーターや各スイッチ類などのレイアウト、4MTのシフトレバーの角度も忠実に再現され、現代車では決して見られないノンエアバッグの細身ウッドステアリングがクラシックカーを物語る。ちなみに、ステアリングはノンパワステである。

この車輌には、オプションとしてオイルクーラーやポリッシュされたサイドマフラー等が追加されている。正式な価格は不明だが、フェラーリの新車が買えてしまうくらいというから、おおよその予測はできるはずである。

しかも、故キャロルシェルビーが存命中にオーダーされた最後の車輌ということで、ボディに直筆のサインが記されている。これだけでも価値が数倍跳ね上がると言われているのである。

シェルビーコブラ427をちょっと動かしてみて、それをひと言で表せば「非日常そのもの」。まず、乗り降りからして大変(笑)。サイドマフラーが邪魔で乗降時に最初の試練がやってくる(走行後のサイドマフラーに触れたら確実に火傷する笑)。で、そもそものコクピットが狭い。これ、大柄なアメリカンが乗れるのだろうかと心配するほど狭い。逆に我々日本人にはタイトな感じでいいかもしれないが。

だが、次なる難儀がやってくる。まぁクラッチの重いこと。ストロークも長いから(やはり足の長いアメリカン向きか)、「これで渋滞ハマったら地獄だな、坂道発信できるかな」というくらいに重い。MTシフトも若干のコツがいる。4段なのがせめてもの救いか。

で、準備が出来たらエンジン始動。さすが新車だけあって、キーを捻るだけでエンジンは簡単にかかる。だが、轟音と振動たるや…、周りが一瞬で騒然となる。鬼のように重い踏力のクラッチを踏んでギアを1速に入れてスタートさせると、今度はハンドルの重さにビックリ。(予想通り?)ステアリングにパワーアシストが付いてない。

ボディ外側だけでなく、トランクルームに至るまでアルミの輝きがもたらされている。さすがに使うには躊躇われる。トランクルームがあるわけだから、行こうと思えば旅行にも行ける。ちなみに幌はないが。

博物館<File No.105>Final シェルビー コブラ 427 S/C(米)

ある程度の速度が出ていれば、パワステの有無はそれほど気にならなくなるが、低速時にはかなり大変。重ステの経験の浅い方が、車庫入れとか縦列駐車とかは相当苦労するかもしれない。ちなみにブレーキも重い。こちらもパワーアシストなしである。

と、まあこんな感じだが、我慢して少し走ると…、素晴らしい世界が待っている。ドッドッド…という重低音。一点の濁りもない純粋なエンジンサウンド。このサウンドや振動には、何とも言えない快感がある。恐らく、この快感こそが、このクルマの魅力のひとつだろうし、ハンドリング等の操縦性には触れられないが、低い速度域でも、この重低音サウンドの魅力は別格と言わざるを得ない感じだった。

ヒストリックカーならではの各種ディテール。これほど美しいボディを持つクルマを筆者は知らない。こうしたヒストリックカーを今なお新車で買えるのはコブラだけである。しかもクオリティは現代車だけに、幌がないとか停めるところを気にするとか、そういった心配事はあるにせよ、メカニズム的には何ら心配はいらないから気兼ねなく走れるのが最大の魅力である。

古いクルマにはあまり詳しくなくても、クルマに興味のある人だったら、「ACコブラ」というクルマの存在や、どんな形をしているかぐらいは知っているんじゃないかと思う。そして、今でも新車のコブラが買えることも知っているかもしれない。しかし、ここから先のことを知っている人は、なかなかの事情通だ。

CSX4000番台としており、コンティニューションモデル(継続生産車)とも呼ばれています。 ACコブラからシェルビーコブラへ

こうして世に送り出されたコブラは、圧倒的な性能を誇り、レースでも輝かしい成績を挙げた。しかし、ACカーズの業績低迷、ガソリン価格の高騰、アメリカ国内の安全基準を満たさなくなったことなどの諸事情により、コブラは消滅を余儀なくされる。ACカーズもやがて倒産を迎えることとなった。

そんな中、キャロルシェルビー率いるシェルビーアメリカン社は、ファクトリー&ショールームをテキサスからネバダラスベガスに移し、1997年からオリジナルコブラとして「continuation」モデル(継続生産モデル)の製造を開始している。つまり、レプリカではなくシェルビーアメリカン社が作る「本物」である。

で、1997年以降の本物のコブラは、日本国内には数台しか入っていないのが現状であるから、取材車輌は激レアの1台となる。

鋼管フレームで製作したフレームにアルミ製のボディを搭載し、エンジンは往年の427(7リッター)かと思えばラウシュ製511SR(8.4リッター)をチョイス。最高出力540hp、最大トルク600lb-ftを発生させるこのエンジンと車重、ボディの大きさから考えても、例え相手がバイパーでもその刺激度には敵うまい。

本来なら427エンジンを搭載するのだが、フルオーダー可能ということであえてラウシュ製をチョイスしたのである。ちなみにラウシュとはフォード車のハイパフォーマンスパーツを製造しているメーカーである。

正式名は、1965年型シェルビーコブラ427 S/C CSX4000。現代のコブラで最高に優れている点が、エンジンから内装、カラー等に至るまでフルオーダーが可能であるということ。この1965年車はそのフルオーダーの1台であり、外装はブラッシュド・アルミに仕上げ、ポリッシュド・ルマンレーシング・ストライプを加えている。

ROUSH 363エンジン シェルビーコブラ427のエンジンサウンド

コンテンポラリーモーターカンパニー(現在はファクトリー・ファイブ・レーシング社が継承)やERAレプリカオートモビル、今回のAPモデルの生産も手がけるハイテックオートモーティブなどがメジャーどころとして挙げられ、ピーク時は世界中に40社をゆうに超える数のメーカーがあったと伝えられる。現在でも約20社がリプロダクションコブラの生産に携わっている。

APモデルは、長年シェルビーの正規代理店として、コブラの日本への輸入販売を手がけてきた田邊氏が、日本のビギナーにもコブラを楽しんでもらえるようにとの思いから、低価格で、乗りやすく、メンテナンス性に優れることに考慮して最適にアレンジした、田邊代表いわく「これまで培ってきたノウハウの結集」である。


[シェルビー・コブラ専門店] Superformance MK3 カスタム事例

角度や長さが忠実に再現されている4MTのシフト。思っていたよりもシフト操作はカチっとしており、ストロークも短い。だが全体的な操作性は、ヒストリックカーそのものというか、レーシングカー的。なので当然、クラッチやブレーキペダルは重い。慣れるまでかなりハードだろう。

シェルビー氏より公認ライセンスを与えられたシェルビー・コブラ ..

「乗ってみたい!」と興味を持った女性を乗せてのドライブも、むろん今どきのクルマのような快適性があるわけではないが、このちょっとスパルタンな感覚をいっしょに楽しめるぐらい、というイメージだ。

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また、世に出回っているコブラでは、アッパーアームのないタイプのリアサスペンションを持つものも多いのだが、やはりあるほうがタイヤの接地性が圧倒的に良いので、APモデルもアッパーアームのあるタイプとしたという。

シェルビーコブラ ACコブラ #スーパフォーマンスコブラ ..

コブラは、1962年英国AC社のボディにフォード製V8エンジンを搭載した軽量FRスポーツカーとして誕生した。製作したのはロサンゼルスにあるシェルビーアメリカン社。その代表は故キャロルシェルビー氏だ。

1950年代、彼はアメリカ国内レースで活躍するとその実力がアストンマーチン社に見初められ、1959年ル・マンにドライバーとして参戦し優勝に導いた。翌年、持病の心臓病を理由に引退。一転して今度はレース経験を生かしたクルマ造りに人生を費やすのである。それがシェルビーアメリカン社の誕生になる。

シェルビーアメリカン社が製作を始めた1960年代当初、コブラはライトウエイトスポーツともいえるナローボディをまとっていたが(260、289エンジン搭載)、427エンジンを搭載するにあたり、ここで紹介しているようなフェンダーの張り出したグラマラスなスタイルに進化を遂げる。いわゆるマッスルカー的な演出である。

こうした時代背景を歩んできたコブラは、当然ながら世界中にファンがいる。だからこそレプリカをも世界中に存在するのである(名車だからこその必然)。

コブラ#シェルビーコブラオリジナリティ スポーツカーコブラ ..

さらにAPモデルは、実用性にも配慮されているところもありがたい。センターコンソールボックスが設定されているし、出先で雨が降っても大丈夫なように(装着はけっこう大変だが……)、金額にするとけっこうな額になるソフトトップも標準装備される。バンク修理キットも標準で付属する。

シェルビーコブラ・ライセンスドモデル正規販売店。高い安全性、新車3年安全保証付きで安心してお乗りいただけます。

そんなAPモデルの車両価格680万円という金額を見ても、読者諸兄の多くはピンと来ないかもしれないが、コブラというと、新車では1,000万円オーバーが普通で、20年以上落ちの中古車でも500~600万円クラスがザラ。むろん中古車はコンディションに不安のあるものが多いのは言うまでもなし。

ALLARD J2X シェルビー・コブラの元になったアラード 年式不明

ところがAPモデルであれば大差ない金額で新車のコブラが手に入るわけで、いかにコストパフォーマンスに優れるかがご理解いただけることと思う。田邊代表いわく「知れば知るほど、APモデルがいかに画期的であるかということを分かってもらえるはず。もっと早く出すべきだった」とのことだ。

カークラシックTV #040 SHELBY COBRA CSX4000 ..

話を聞いていて、もともとコブラには興味はあったものの、所有するなんて非現実的な話と思っていた筆者も、APモデルならアリかも?、という思いが頭をよぎった……。なお、シェルビーアジアでは、APモデルの試乗車を用意しているので、興味のある方は気軽に問い合わせてみて欲しい。