DIクイズ3:(A) 抗結核薬を服用する結核以外の疾患:日経DI


2009年~2010年:多剤併用療法への挑戦と副作用に苦しみ、転院
2009年3月、A病院の主治医の退職を機に紹介されたB大学病院で各種検査を実施した結果、病状が悪化していることから3剤(クラリスロマイシン・リファンピシン・エタンブトール)治療が必須であると診断を受けました。副作用の話も聞いていたため、迷いましたが家族とも相談の末、2009年7月には3剤治療を開始する決断をしました。しかし、投薬3週目、悪寒と発熱、起き上がれないほどの倦怠感が現れます。翌月、診察時に主治医に相談し「3剤治療が絶対に必要だが当面は代替薬で様子を見る」とされ、3剤治療は中止となりました。2010年5月、CT検査を実施し、既存の空洞は小さくなっているが、新たな空洞ができているとの指摘を受けました。「やはり3剤治療をするべきであり、それが嫌なら筋肉注射を週に2回通ってもらう」と言われてしまいました。このことから、大学病院はつらく厳しい治療を無理強いするところ、との印象を持ってしまいました。生活のために働かなくてはならないことを理解してもらえないと思い、その病院への受診をキャンセルし、以前の主治医がいるC病院を受診することにしました。その病院では「3剤治療は副作用が強い上、飲んでも必ず治る保証はないので辛いなら飲まなくて良い。クラリスロマイシンを中心にL-カルボシステインを追加しよう。」と言われて安心し、頼ってしまうことになりました。


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2011年~2015年:改善しない症状に悩まされる~不信感を抱く
2011年の3月にまた主治医が退職し、後任の医師に変更になりましたが、クラリスロマイシンとL-カルボシステインという投薬内容に変更はありませんでした。その後、自覚症状を伝えても「肺MAC症の悪化ではない。前回とレントゲンに変化はない」と言われるだけでしたので、自分からは特に報告することはしなくなりました。血液検査はするものの、喀痰検査やCT検査も特になく、薬をもらうための通院という感じでした。しかし、単剤投与を再開して4年目の2014年7月、激しい咳こみと痰に悩まされ始めます。受診したところ、細菌感染かもしれないといわれ、スルタミシリントシル酸塩水和物を処方されました。その時は後から、インフルエンザ菌への感染であったことがわかり、投薬の効果で症状が改善しました。しかし最初の健診より10年が経ち、自覚症状は明らかに悪化しているのに診察には進展はなく、主治医への不安が強くなりました。そこで転院を希望したところ、「専門病院に転院したら強い薬を飲んでまた副作用が出ますよ。よく考えたほうがいい」と言われました。そう言われると気持ちが消極的になり、身内の手術などもあり、転院は保留となっていました。

2004年~2009年:発症、増悪、治療開始
2004年39歳の時にいつものように健康診断を受けました。後日、例年は結果が手紙で通知されるだけなのですが、今回は精密検査が必要という電話がかかってきました。すぐに病院を受診したところ「肺がんではないが非結核性抗酸菌症の疑いがある」と医師の話を聞き、初めて聞く病名に戸惑いましたし、当時は予後が良くない、治す薬がない、などと言われ、不安を持ちました。連日ネット検索をしましたが、情報も少ない状況でした。 こうした状況の中、A病院で気管支鏡検査等の結果、アビウム菌陽性(ガフキー8号)となり肺MAC(Mycobacterium avium complex)症と確定診断があったのが、2005年でしたが、当時は自覚症状がなかったため経過観察となり定期的にレントゲン検査や喀痰検査、血液検査をすることとなりました。 2007年42歳の時、体調を崩し咳・痰がひどく呼吸も苦しいことから予約外受診をして、クラリスロマイシンという抗菌薬を単剤で1日400mg/日飲み始めることとなりました。投薬により吐き気や下痢といった症状が続き、整腸剤と吐き気止めも併せて内服していました。7か月後の2008年2月には咳や痰は多少あったものの、レントゲンの結果、投薬効果が確認できたとして投薬終了と言われました。しかし、投薬終了に喜んだのも束の間、その5か月後の再診で数年分を数か月で悪化していると言われ、投薬再開となってしまいました。加えて、その半年後には「投薬に効果なし」とされクラリスロマイシンが倍量の800mg/日となりました。増量によって口中に苦みを感じるようにもなりました。なにより、再開や増量という展開に不安感が増しました。

核性抗酸菌とは抗酸菌(Mycobacterium)の中で,結核

2015年:喀血・転院
そうしてC病院でクラリスロマイシン単剤での療養を続けながら過ごしていた2015年8月、初めて喀血をしました。主治医からは「肺MAC症の悪化は見られないので重いものを持った瞬間に気管支に負荷がかかったことにより血管が切れたのだろう」と言われ2週間の安静を指示されました。その年の10月、肺NTM症専門病院の市民講座に参加し、講師の医師に相談したところ「現状の投薬では耐性化の危険がある。今の状態なら投薬する価値があるし、減感作療法で副作用の影響を考慮しながら投薬できる可能性がある」と言われ転院を決意しました。 主治医にその意思を伝えたところ「紹介状を書くのは構わないが専門の先生には怒られると思う。なぜならクラリスロマイシンの単剤投与はやってはいけないといわれているから」と言われて絶句しました。やってはいけないと知っていて単剤投与を長期間していたことを知り、言葉がでませんでした。勝手に大学病院を辞めたことは誤りだったことにこの時、気が付きました。

2016年~2017年:クラリスロマイシン耐性菌が発覚、多剤併用療法を開始
専門病院であるD病院に転院後、喀痰検査を実施した結果、クラリスロマイシン耐性アビウム菌と判明し、クラリスロマイシンを中止することになりました。減感作療法を実施するために入院し、抗アレルギー薬を服用しながらでしたがリファンピシン、エタンブトールを基礎とした多剤併用療法を開始することができました。それから2年間、同様の服薬内容で体調良好な日々を過ごすこととなりました。

結核性抗酸菌症【はいひけっかくせいこうさんきんしょう】とは、結核 ..

その後:耐性菌陰性化と2度の菌交代と現在
専門病院での多剤併用療法は3年続き、難しいと思っていたクラリスロマイシン耐性MAC菌の陰性化に成功しました。 ただ、同じ非結核性抗酸菌のアブセッサス菌(マシリエンセ亜種)に感染し新たな治療を行ってそれを陰性化してもまたアビウム菌に感染するなど、最初の診断から17年目に入ってもまだ治療は終わっていません。 現在のアビウム菌はクラリスロマイシンに感受性があることがわかっており、クラリスロマイシン・リファンピシン・エタンブトールの3剤治療を続けています。 どうして自分はこうして菌交代しながら感染を繰り返すのだろう、と悲しくなります。お風呂掃除はその日のうちにサッとやる程度にして念入りにやるのは夫に任せ、庭の園芸仕事もやめ、水回りのリフォームもしたにも関わらず、です。「ああどうしてこうなるんだろう」と繰り返し思います。けれどこうなった以上、新しい菌に対処していくしかないです。

アリケイス®は、通常点滴で使用するアミカシンをリポソームと呼ばれる油性の小さな粒子の中に入れたお薬です。2021年に発売された新薬で他の治療を半年以上行っても痰から菌が検出される場合に、従来の治療に加えて使用するものです。臨床試験では、ガイドラインに基づく多剤併用療法に加えてアリケイス®を毎日追加した場合、アリケイス®を使用しない場合に比べて、投与6か月目までに約30%の方で喀痰の抗酸菌培養検査で菌が陰性になりました。専用の吸入器を用いて吸入することにより、肺の末梢にある肺胞まで効率的に薬剤が分布するため薬の全身への影響が少なくなり、副作用を軽減しながら治療の効果を期待できます。吸入治療ならではの副作用として発声障害が比較的多く報告されていますが、声帯の一時的な炎症によるもので基本的には心配ありません。吸入手技やメンテナンス方法の習得が必要になるため、慶應義塾大学病院では新規導入の際に2泊3日程度の入院をしていただいています。入院前の準備から退院後のフォローに至るまで、関係する医師(呼吸器内科、感染症科、耳鼻咽喉科)・看護師・薬剤師がチームとなって連携をとり、遠方に在住の方でもスムーズに治療を継続できるような取り組みを行っています。

非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria:

副作用かどうかを判断するためには、定期的な受診とが必要です。日頃から読んでいる新聞や本・雑誌の見え方に変化がないかどうか、階段などでふらつくことが増えていないかどうか、耳の聞こえ方に変化がないかどうか、などに注意して少しでも変わったことがあったら遠慮なく相談してください。

肺アブセッサス症は、肺MAC症と比較して治療が効きにくいといわれています。このため、初めに点滴のお薬を含む複数の薬で治療を行います。まずは入院して点滴の薬を2種類(アミカシン、イミぺネム/シラスタチン)、内服薬を2種類(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、クロファジミン、シタフロキサシン、リネゾリドの中から患者さんに合わせて選択します)を使った治療を1か月程度行います。退院後も外来で週3回の点滴と内服薬2~3種類を続けます。


現在、我が国では肺非結核性抗酸菌症に対してリファブチン(RBT)、クラリスロマイシン

AMRアライアンス・ジャパン サポーター
肺NTM(Nontuberculous Mycobacteria:非結核性抗酸菌)症 当事者

[DOC] 抗酸菌症(結核および非結核性抗酸菌症)の治療薬と副作用

非結核性抗酸菌に対するCAMの耐性基準は示されていないのですが, 薬剤感受性試験は必須ではないのでしょうか???

播種性非結核性抗酸菌 (NTM) 感染症 | 日和見疾患の診断・治療

CAMの非結核性抗酸菌に対する耐性基準またはブレイクポイントが設定されていれば,設定値を教えて下さい。【回答】
非定型抗酸菌に対するクラリスロマイシン (CAM) のブレイクポイントは現在のところ設定されていませんが,ある目安として微量液体希釈法でのMICが32 μg/ml以上を「耐性」と判定することもあるようです。CAMはMACの治療薬として使用されることが多いようですが,単独で使用されることはなく, CAMを主薬として2~3剤の併用で使用されます。また,MAC以外の非定型抗酸菌に対してもCAMは有効と言われています。しかし現時点では,非定型抗酸菌に対する保険適用がありません。
【追加質問】
お返事ありがとうございました。非結核性抗酸菌が検出されたら, 自動的にCAMの感受性試験を追加しようかとも考えていたのですが,その必要はないのでしょうか???

肺MAC症は、結核と並ぶ抗酸菌である非結核性抗酸菌の7-8割を占めるMAC ..

当院では外注で実施しています。【回答】
非定型抗酸菌に対してクラリスロマイシン (CAM) が単独で使用されることはないと思います。例えばMAC症の治療では,(CAM, AZMから1種類)+EB+(CPFX, SPFX, AMK, RPFから2種類)の組み合わせが使用されます。その点を踏まえて,薬剤感受性試験が必要であるか否かは, その施設の判断で決定されることをお勧めします。

【非結核性抗酸菌症】2023年度倉敷中央病院 第2回市民 ..

結核菌以外の抗酸菌が肺に感染して起こる病気です。非結核性抗酸菌は土や水などの環境中にいる菌で、結核菌とは異なり人から人には感染しません。菌の種類は150種類以上ありますが、非結核性肺抗酸菌症の80%がマック菌で、次に多いカンサシ菌が10%です。

クラリスロマイシン錠200mg「大正」 | 医療関係者向け情報

代表的な治療薬はクラリスロマイシン(またはアジスロマイシン)とエタンブトールで、この2種類の薬にリファンピシンを加えて3種類の薬で治療します。このうちクラリスロマイシン(またはアジスロマイシン)は治療に重要な薬です。飲み薬だけでは治療の効果が不十分な場合などにはストレプトマイシンの注射剤(筋肉注射)、アミカシンの点滴注射や後述する吸入薬(アリケイス®)を使用する場合があります。リファンピシンのかわりにリファブチンを用いることもあります。

「 肺炎と思ってニューキノロンで治療したら,結核でした.」 結核の単剤 ..

女性にやや多く、年間約8,000人が発症します。肺結核が年々減少しているのに対して非結核性肺抗酸菌症は増加しています。

非結核性抗酸菌症、特に肺 Mycobacterium avium complexs 症(MAC 症)は ..

主に浴室や土を扱う作業で空気中にただよう非結核性抗酸菌を吸い込むことにより感染すると考えられています。多くは数年から10年以上かけてゆっくりと進行します。

結核と異なりヒトからヒトへの感染は否定されています。 30 以上の菌種が知 ..

胸部エックス線検査、胸部CT検査で特徴的な影を見つけます。たんを調べ、培養で菌があれば診断になりますが、結果が出るまでに6週間程度かかることがあります。たんから2回以上同じ菌が出ることが診断に必要です。たんが出ない場合は気管支鏡検査を行い、検体の培養を行います。

クラリスロマイシン、リファンピシン、エタンブトールの 3 剤が使用されま.

非結核性肺抗酸菌症のうちマック菌が原因と診断されて、症状や肺の影が悪化してくる場合には薬による治療を行います。クラリスロマイシンと抗結核薬2種類を毎日内服し、少なくとも1年半(菌が培養されなくなってから1年間)続ける必要があります。

非結核性抗酸菌症治療薬の薬物相互作用と用法用量設定に関する研究

薬による治療は、複数の抗菌薬(抗生物質)を同時に使います。非結核性抗酸菌(NTM)に効く薬は限られており、1年以上の長期にわたって薬を飲むことが必要です。
薬の治療を始めるかどうかは一律には決まっていません。肺非結核性抗酸菌(肺NTM)は、一般に長い経過をたどりますが、日常生活には支障がないまま、ゆるやかに進行していくことも多いです。治療をしなくても痰から菌が検出されなくなったり、何年もレントゲンの影が変化しなかったりする患者さんもいますが、年単位で少しずつ進行していく例が多いです。自覚症状が乏しいこともめずらしくありません。多くの場合は緊急に治療を開始する必要はないので、患者さんの基礎疾患などの背景と治療内容、自覚症状、副作用や定期的な画像や喀痰検査などの重要性を理解したうえで治療を開始します。治療に年齢制限はありませんが、高齢の患者さんも多いため、薬の副作用も考慮し、病状によっては治療をせずに経過観察する場合もあります。以下のような場合には治療開始を考慮します。

また結核菌、非結核性抗酸菌、癩菌のそれぞれも薬剤感受性に特徴があり ..

治療期間が1年以上必要なことが多いですが、薬に対する副作用や効き目が患者さんによって違うので、治療期間も異なります。当院には日本結核・非結核性抗酸菌症学会の結核・抗酸菌症指導医が在籍しており、クロファジミン(内服薬)を含めた先進的な治療を提供しています。

クラリスロマイシン・エリスロマイシン・フルコナゾール; 抗不整脈薬:ベラパミル

病気の形状、広がり、痰からの菌の程度などによっては、手術が選択肢になることがあります。日本結核・非結核性抗酸菌症学会から手術に関する考え方が示されていますが、経験豊富な外科医師と相談し、患者さんの年齢、基礎疾患、全身状態、肺機能(肺の余力)、患者さんの希望などを総合的に判断したうえで、手術を行うか検討します。

日本結核病学会では国に対し要望書を提出しているが、供給再開は困難な模様である。 ..

肺結核と異なり人から人へは感染しませんので、社会生活は特に制限ありません。