[PDF] 急性単純性虫垂炎の治療 (総説)NEJM,Sept.16, 2021


これらが急性虫垂炎の原因となる主な細菌です。また、件数は少ないですが、やエルシニアという細菌も急性虫垂炎を起こすことがあると言われています。


虫垂炎アップデート|札幌東徳洲会病院 救急センター 救急科専門医研修

急性虫垂炎に対して手術を行わない場合は、これらの細菌に有効と考えられる抗生物質を用いることが大切です。以下が治療に用いられる抗生物質の例です。

近年、抗生剤の進歩により虫垂切除なしで虫垂炎を治療可能な症例、すなわち「抗生剤で散らす」ことが可能な症例も増えてきましたし、むしろ、現在では正確な画像診断・抗菌薬の進歩に伴い、単純性急性虫垂炎を緊急手術することは外科医や看護師などのマンパワーの問題などから、夜間の緊急手術は回避される傾向にもあります。

オーグメンチン(CVA/AMPC)+アモキシシリン(AMPC)

「急性単純性虫垂炎における抗生剤と手術は同等の有効性と安全性を示す」ことがランダム化試験(RCT)の結果をもって示された。内容:急性虫垂炎のうち穿孔性や膿瘍形成性虫垂炎などの複雑性虫垂炎は全体の20%程度であり、残りの多くの単純性虫垂炎において1年後まで症状なく経過したものは63%で手術群にくらべ合併症の相対リスクが31%減少するということであった。しかしながら、抗生剤初期治療に成功した群でも約40%は1年後までに何らかの症状が再燃し、20%は再入院となり手術が必要であった。再入院になった症例のうち穿孔や膿瘍形成などの複雑性虫垂炎に進展していたものは21%にのぼっていた。

また、手術を行うことになっても手術前後に抗生物質を用います。明らかに合併症(虫垂の破裂、膿瘍の形成、バイタルなど)がなければ、用いる抗菌薬はセファゾリンが適していると考えられています(Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases 8th edition)。これを用いることで創部感染などの手術後の感染症トラブルを減らすことができます。

アモキシシリン・クラブラン酸; レボフロキサシン+メトロニダゾール; シプロフロキサシン+メトロニダゾール

に対して抗生物質を用いるとき、感染の原因となっているに有効なものを用いる必要があります。そのため、急性虫垂炎の原因となる細菌を見定めなければなりません。急性虫垂炎は腸の中で起こる感染ですので、腸の中にいる細菌が起炎菌となります。例を挙げます。

子どもの場合も大人の急性虫垂炎の場合と同じく手術か抗生物質治療を行います。

このような処方を受け付けた場合、どのような対応をしますでしょうか? いずれも抗菌薬です。 成分をみてみましょう



単純性急性虫垂炎の治療におけるアモキシシリン+クラブラン酸による抗生物質治療の効果は、緊急虫垂切除術よりも劣っており、現在でもgold standardは虫垂切除術であることが、フランス・アントワーヌ・ベクレール病院のCorinne Vons氏らの検討で明らかとなった。急性虫垂炎は、急性の腹痛で入院した患者の中で手術を要する頻度が最も高い疾患だという。4つの無作為化試験をはじめいくつかの検討で、単純性急性虫垂炎は抗生物質治療で治癒が可能であり、1次治療となる可能性もあることが示唆されている。Lancet誌2011年5月7日号掲載の報告。



研究グループは、単純性急性虫垂炎の治療における抗生物質治療(アモキシシリン+クラブラン酸)の緊急虫垂切除術に対する非劣性を検証する非盲検無作為化試験を実施した。

2004年3月11日~2007年1月16日までに、フランスの6つの大学病院からCT検査で診断された18~68歳の単純性急性虫垂炎患者が登録された。

これらの患者が、アモキシシリン+クラブラン酸(体重90kg未満:3g/日、90kg以上:4g/日)を8~15日間投与する群あるいは緊急虫垂切除術を施行する群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、介入後30日以内の腹膜炎の発生率とした。





243例が登録され、123例が抗生物質治療群に、120例は虫垂切除術群に割り付けられた。介入前に早期脱落した4例を除外した239例(抗生物質治療群120例、虫垂切除術群119例)がintention-to-treat解析の対象となった。

30日以内の腹膜炎の発生率は、抗生物質治療群が8%(9/120例)と、虫垂切除術群の2%(2/119例)に比べ有意に高かった(治療群間差:5.8例、95%信頼区間:0.3~12.1)。

虫垂切除術群では、事前にCT検査による評価を行ったにもかかわらず、予想外にも手術時に119例中21例(18%)が腹膜炎を伴う複雑性虫垂炎であることが判明した。

抗生物質治療群120例のうち14例(12%、95%信頼区間:7.1~18.6)が30日以内に虫垂切除術を施行され、この14例と30日以内に追跡を中止した4例を除く102例のうち30例(29%、同:21.4~38.9)が30日~1年までの間に虫垂切除術を受けた。前者のうち急性虫垂炎であったのは13例(再発率:11%、同:6.4~17.7)、後者では26例であった(同:25%、18.0~34.7)。

著者は、「急性虫垂炎の治療におけるアモキシシリン+クラブラン酸による抗生物質治療の緊急虫垂切除術に対する非劣性は確認されなかった。現在でも、緊急虫垂切除術は単純性急性虫垂炎の治療のgold standardである」と結論し、「CT検査に関する予測マーカーが同定されれば、抗生物質治療が有効な患者の選出が可能になるかもしれない」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)

単純性急性虫垂炎に対する非手術治療と虫垂切除術の有効性および安全性を検証した報告で、成人患者で非手術治療と虫垂切除術を比較した無作為臨床試験8件(1504研究の中から厳選)をまとめて解析した論文で系統的レビューと言います。
(結果)
手術群と非手術群の30日後の治療成功率に有意差を認めませんでした
手術群と非手術群の30日後における有害事象の発生率に有意差を認めませんでした

しかしながら
非手術群では
入院期間が手術群より有意に長い
虫垂炎の再燃が18%
が認められました。


なおこの総説によると Ampicillin-sulbactam(ユナシン S)や amoxicillin-clavulanate

単純性虫垂炎に対して保存的加療の成功率は手術と同程度の成功率ですが、入院期間が長くなり、18%程度で再燃するということになります。

医療用医薬品 : サワシリン (サワシリンカプセル125 他)

例えば、虫垂が腫れ上がり破裂するリスクがあると考えられる場合には手術を選ぶことになりますし、入院することができない状況で軽症の急性虫垂炎であれば飲み薬の抗生物質を用いて治療することも可能です。

※1 サワシリン®ならびにそのジェネリック医薬品、クラバモックス®、オーグメンチン®は、

合併症をもたない急性虫垂炎は抗生物質による治療も有力な選択肢です。合併症とは虫垂に穴があいていたりの溜まりがあることです。

2023 年 7 ⽉から全国的に供給制限状態である。 Page 2

虫垂炎について、患者さまからいただいた質問を集めました。ここで解決できないことはお気軽に質問ください。

[PDF] 複合抗生物質製剤 クラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物錠

急性虫垂炎に対しては手術が治療の基本になります。感染を起こしている虫垂を切除して感染源を排除することが目的です。一方で、抗生物質(抗菌薬、抗生剤)を用いた治療も有力です。俗に「散らす」と呼ばれるもので、抗生物質が感染を抑えることを期待した治療です。

通常成人は、1回1錠、1日3~4回を6~8時間毎に経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。 8

合併症のない急性虫垂炎のうち約70%の人は抗生物質を使って根治することができます。一方で約30%の人は抗生物質の効果が弱く治療が不成功となり手術が必要になります。

【急性虫垂炎に対する手術と抗生物質治療の比較】

ここで本邦における虫垂炎手術症例数の推移を示すデータを示します。
非常に興味深い現象が新型コロナ感染症の結果読み取ることができますので、私の分析をまじえ、説明します。

急性虫垂炎

現在の治療法として、外科手術によって虫垂を取り除く方法(虫垂切除術)または、薬剤によって炎症を抑える方法(抗菌薬治療)があること、外科手術には開腹手術と腹腔鏡下手術があることを情報共有します。

合併症のない急性虫垂炎には抗菌薬より切除術

(禁忌)
2.1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者〔8.2、9.1.1、11.1.1-11.1.3参照〕。
2.2.伝染性単核症のある患者[発疹の発現頻度を高めるおそれがある]。
2.3.本剤の成分による黄疸又は肝機能障害の既往歴のある患者[再発するおそれがある]。
(重要な基本的注意)
8.1.本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、β-ラクタマーゼ産生菌、かつアモキシシリン耐性菌を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.2.ショック、アナフィラキシー、アレルギー反応に伴う急性冠症候群、薬剤により誘発される胃腸炎症候群の発生を確実に予知できる方法はないが、事前にショック、アナフィラキシー、アレルギー反応に伴う急性冠症候群、薬剤により誘発される胃腸炎症候群の既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質によるアレルギー歴は必ず確認する)〔2.1、9.1.1、11.1.1-11.1.3参照〕。
8.3.無顆粒球症、顆粒球減少、血小板減少があらわれることがあるので、血液検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.5参照〕。
8.4.急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと〔9.2.1、11.1.6参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1.ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)〔2.1、8.2、11.1.1-11.1.3参照〕。
9.1.2.本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー反応を起こしやすい体質を有する患者。
9.1.3.経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者:観察を十分に行うこと(ビタミンK欠乏症状があらわれることがある)〔9.8.2参照〕。
(腎機能障害患者)
9.2.1.高度腎障害のある患者:投与間隔をあけて使用すること(血中濃度が持続する)〔8.4、11.1.6参照〕。
(肝機能障害患者)
肝機能障害患者:肝機能障害が悪化するおそれがある。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること〔15.1参照〕。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
(小児等)
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
(高齢者)
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。
9.8.1.生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
9.8.2.ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある〔9.1.3参照〕。
(相互作用)
10.2.併用注意:
1).プロベネシド[アモキシシリンの血中濃度は維持できるが、クラブラン酸の血中濃度は維持できない(プロベネシドは、尿細管でのアモキシシリンの分泌を減少させる)]。
2).ワルファリンカリウム[プロトロンビン時間延長(INR上昇)が報告されているので、ワルファリン投与中に本剤を投与開始又は投与中止する場合には、血液凝固能検査値等に注意し、ワルファリン投与中に本剤を投与開始又は投与中止する場合には、ワルファリンの投与量を調節するなど適切な処置を行うこと(本剤は腸内細菌によるビタミンKの産生を抑制し、ワルファリンの作用が増強される可能性があると考えられているが、機序は不明である)]。
3).経口避妊薬[経口避妊薬の効果が減弱するおそれがある(腸内細菌叢を変化させ、経口避妊薬の腸肝循環による再吸収を抑制すると考えられている)]。
4).ミコフェノール酸モフェチル[ミコフェノール酸モフェチルの効果が減弱するおそれがある(併用により、ミコフェノール酸モフェチルの活性代謝物であるミコフェノール酸のトラフ値が約50%低下したとの報告があり、本剤は、ミコフェノール酸の腸肝循環による再吸収を抑制する可能性があると考えられる)]。
5).メトトレキサート[メトトレキサートのクリアランスが減少するおそれがある(メトトレキサートの尿細管分泌が阻害され、体内からの消失が遅延し、メトトレキサートの毒性が増強する可能性がある)]。
(臨床検査結果に及ぼす影響)
酵素反応を除くベネディクト試薬、フェーリング試薬による尿糖検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
(過量投与)
13.1.症状
過量投与時、消化器症状(下痢、嘔吐等)、体液バランスの変化及び電解質バランスの変化がみられる可能性がある(また、アモキシシリン結晶尿が認められたとの報告がある)。
13.2.処置
過量投与時、本剤は血液透析によって除去することができる。
(適用上の注意)
14.1.薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
(その他の注意)
15.1.臨床使用に基づく情報
適応外であるが前期破水時の感染予防を目的とした本剤投与群において、非投与群より新生児の壊死性腸炎の発生率が高いという疫学調査の報告がある〔9.5妊婦の項参照〕。
(取扱い上の注意)
20.1.吸湿性があるので、湿気を避けて保存すること。
20.2.アルミ袋開封後、1ヵ月以内に使用すること。
(保管上の注意)
室温保存。

急性虫垂炎に対する抗生物質治療 vs

急性虫垂炎が再発すると腹痛などの症状が現れます。抗生物質による治療後の再発率はどのくらいなのでしょうか。

急性虫垂炎について | 浜の町病院

急性虫垂炎が再発した場合、最初の治療と同様に手術か抗生物質による治療を選ぶことになります。急性虫垂炎が再発した場合の治療はデータが少ないので手術と抗生物質の優劣をつけることは難しくその状況により適切な治療法も変わります。

昨日再再発で、虫垂炎で病院へ行きました。入院、手術はせず

急性虫垂炎に対して手術を行うことが多いですが、(抗生剤、)を用いた治療も有力です。ただし、抗生物質を用いた場合、治療後に再発することがあります。再発後の治療と合わせて説明します。

急性虫垂炎にはまず抗菌薬投与が主流に(4ページ目)

例えば再発したとき虫垂に穴があいているまたは穴が開く可能性が高い場合には基本的に手術を勧められることが多いと思います。一方で前回と同様に軽症であれば手術をしなくとも治る見込みがあると言われるかもしれません。この場合は手術と抗生物質のどちらでも選ぶことができます。