またアルツハイマー病の原因のひとつには、メラトニンが関係しているとも言わ
しかし、実は加齢によってメラトニンの分泌量は低下していくこともわかっています。
1歳~3歳頃までが最も多く、思春期以降は減少に転じ、70歳を超えるとピーク時の10分の1以下になるという報告があります。0歳の赤ちゃんが夜泣きをする理由の一つとして、メラトニンの分泌量がまだ不安定な時期だからと言われたり、一方で、高齢者が夜眠れずに昼夜逆転するケースが起こるのは、メラトニンの昼夜の分泌量に差がなくなってくることも一因と考えられたりしています。
このように、メラトニンは加齢とそれに伴う睡眠の問題に深く関係しています。「しっかり睡眠時間が確保できない」「眠りの浅い状態が続く」など、一般に『睡眠障害』と呼ばれているものは、認知症と密接に関わっていることもわかっています。
加齢に伴うメラトニンの減少が睡眠障害を誘発し、それが認知症にも繋がっているとするなら、メラトニンの分泌量低下の予防は認知症予防にも貢献する……という考え方ができるかもしれません。
アルツハイマー型認知症の発症原因は、いまだ完全には解明されていません ..
アルツハイマー型痴呆(ATD)患者において,入院による高照度光療法の血漿メラトニン分泌リズムに与える影響について検討した。結果として,CDR重症度分類における痴呆重症度の改善は認められなかったが,4週間の高照度光療法によってメラトニン分泌リズムは,痴呆軽症例ほど頂値位相の前進,夜間の分泌量と振幅の増加を認めた。また,行動量測定から夜間の睡眠の継続・異常行動の減少,日中の覚醒度の上昇・昼寝の減少が認められた。8週間の高照度光療法は,4週間の高照度光療法によって得られた概日リズムの改善効果を継続させることに有効であった。概日リズムにとって有力な同調作用を持つ高照度光療法は,ATD症例において,特に軽症例ほど,光反応性に応じて概日リズムを一定の水準まで改善し,かつ高照度光療法を継続させることで,概日リズムの改善効果を維持させる効果があると期待される。
『メラトニン』は、私たちの体内で合成されるホルモンの一つで、一般に「体内時計」と呼ばれている〝体のリズム〟を整える働きをしています。人だけでなく、すべての脊椎動物の体内で分泌されている物質で、特に、睡眠と覚醒に影響を与えていることで知られています。
メラトニンの血中濃度は夜間になると上昇し、これが、人が「休息をとる」「睡眠をとる」というシグナルになります。ちなみに、夜行性の動物にとっては「活動を始める」というシグナルとして伝わっているそうです。
さらに、近年の研究でメラトニンには『抗酸化作用』があることもわかってきました。人の体内で起こる酸化は、「活性酸素」の悪影響によって体が錆びているような状態になり、がんや生活習慣病などの原因となってしまう状態です。抗酸化作用は、この活性酸素を抑えてがんの予防や生活習慣病の改善を促す働きで、美容に着目したエイジング対策としても期待できるものです。
アルツハイマー病と睡眠の深い関係【後編】 認知症患者の約半数を占めるアルツハイマー ..
<図3>
このように単独でも抗がん・抗転移効果があるメラトニンですが、化学療法や放射線治療との併用によってこれらの副作用を減らしたり治療効果を高める可能性があります。例えば、シスプラチンによる急性腎症や乳がんに対する放射線誘発皮膚炎を抑えます。そしてラットの研究ではありますが、メラトニン投与群はER陽性乳がんに対するアドリアマイシンの感受性が高まり、QOLの改善もみられました。
最近では、新しいタイプの睡眠薬も登場しています。ふらつきや依存性の少ないオレキシン系と呼ばれる睡眠薬は、高齢者での主流になってきています。また、体内時計を整える効果が期待されるメラトニン関連の薬剤も登場しており、副作用の少なさと相まって徐々に広がってきています。これらを用いたり、複数を組み合わせたりすることで、一人ひとりにあった睡眠障害を改善する方法を見つけることが大切です。
メラトニンの骨減少予防作用 (整形・災害外科 63巻13号) | 医書.jp
生活習慣の改善だけでは難しい場合には、薬剤の内服が有効なこともあります。その際に注意しなければいけないこととして、従来の睡眠薬はふらつきや翌朝への眠気の持ち越しといった副作用、なかなかやめられなくなる依存性があると言われています。特に高齢者では、転倒の原因にもなるので注意が必要です。
これによるとメラトニンの投与により、がんの種類やメラトニンの投与量に関係なく1年後の相対死亡率をなんと34%も減少させることができたとの報告がされています。しかも重篤な副作用はありませんでした。<図2>
アルツハイマー型認知症(AD)と比べてレビー小体型認知症(DLB) ..
いかがでしたでしょうか。今まさにがんと闘っている患者さん、がん予防目的の方、睡眠に関する問題がある方、アンチエイジング目的の方、さらには旅行中の時差ボケ解消にもメラトニンは絶大な効果を発揮してくれるはずです。
メラトニンの様々な種類のがんに対する作用については多くの論文で証明されていますが、メラトニン単独または化学療法や放射線療法などの補助療法としての効果を調べた10件のランダム比較試験のメタアナリシスをご紹介します。
いのは神経変性疾患と呼ばれる一群の疾患で、アルツハイマー型認知症(Dementia in ..
メラトニンは大変優れた抗酸化物質でもあります。抗酸化物質として有名なビタミンCは1分子でフリーラジカルを2個中和できる能力がありますが、メラトニンは1分子でなんとフリーラジカルを10個も中和することができます。メラトニンはアルツハイマー病などの認知機能の低下を抑えることで有名ですが、この脳神経の保護作用もそうしたフリーラジカル除去効果に由来すると考えられています。
アルツハイマー型認知症を発症すると、その初期段階から体内時計を司る視 ..
アルツハイマー病などの認知症と睡眠障害には、お互いに関係性のあることがわかりました。それでは、認知症発症のリスクを減らしたい人は、睡眠障害とどう向き合えば良いのでしょうか。
アルツハイマー型認知症は、アルツハイマー病の患者さんが合併する特徴的 ..
これらの睡眠障害は、認知症の周辺症状(興奮、外出中に道に迷うなど)の出現リスクを高めると言われており、注意が必要です[8]。昼夜逆転した生活も問題になりやすい症状かと思われます。
また、アルツハイマー型認知症患者のビタミンD濃度を調べた所 ..
例えば、甲状腺ホルモンなど通常のホルモン剤の場合、内服を始めるとそのホルモンが体に十分な量存在しているために自力でホルモンを生成するのを怠けることがあります。それをネガティブ・フィードバックと呼びますが、メラトニンのサプリメントの場合はこれがありません。
ドリエルでは抗ヒスタミン薬の眠気を催す作用を睡眠の改善に利用しています。 メラトニン製剤
また抗酸化作用に加えて、免疫抑制状態では免疫の強化、急性炎症のような激しい免疫反応のある場合では抗炎症に働くなど、免疫システムを調整する働きもあります。このような機序により、複数の報告で心保護作用や降圧効果、膀胱機能障害(過活動性膀胱)から耳鳴り、肌質の改善まで幅広い効果が報告されています。
アルツハイマー型認知症の発生に関係するアミロイドβに影響を与えるとの ..
認知症の患者では、睡眠障害を起こしやすいことも知られており、Arvid Rongve医学博士らの報告によると、認知症患者の71%に睡眠障害の症状が見られました。軽度の認知症患者では、不眠症(29.9%)、睡眠中の下肢けいれん(24.1%)、日中の過度の眠気(22.6%)、むずむず足(20.7%)、夜間の寝言や睡眠中の動き(18.5%)などが報告されています[7]。
さらに、長期記憶改善効果をもつニコチアナミンという物質が含まれ、アルツハイマー型認知症の発症を抑えます。 ..
<図1>
メラトニン値は思春期に入る前にピークを迎え、30代でピークの3分の1、50代になると6分の1程度にまで減ってしまうと言われています。メラトニンのサプリメントを飲み始めると、子どもの頃のように鮮やかな夢を見ることがあるのはこのためです。はじめは変に感じるかもしれませんが、数日で慣れるのでご安心下さい。
認知症予防やエイジング対策に期待?『メラトニン』の分泌を促そう
最近になって、アルツハイマー病の発症や、アミロイドβ、タウの両タンパク質の蓄積には、睡眠が関連していると言われるようになりました[2][3]。たとえば、睡眠に問題がある人は、アルツハイマー病の発症のリスクが高いことや、実際にアミロイドβやタウの蓄積を起こしやすいことがわかっています。
睡眠とアルツハイマー病― アミロイド β 蓄積の観点から ―
論文で横井医師がまず指摘するのは、認知症の3分の2を占めるとされるアルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)と睡眠障害の関係性。もの忘れを中心にゆっくりと進行するアルツハイマー病は、タンパク質の一種であるアミロイドβやタウが脳内に蓄積することが関連すると考えられています。記憶障害が現れる数十年前からアミロイドβ、次いでタウの蓄積が始まり、約10年以上遅れて脳萎縮、その後に認知機能低下が始まると言われています[1]。
アミロイド β(Aβ)は、アルツハイマー病(AD)の発症や進行に重要な ..
メラトニンは主に松果体という脳の真ん中辺りにある器官で産生・分泌されるホルモンです。睡眠の質や長さを改善するだけでなく概日リズムを調整する働きがあり、副腎や甲状腺、性ホルモンなど多くの他のホルモンにも影響を与えます。合成や分泌は暗闇で促進され、光やカフェイン、アルコール、タバコ、降圧薬やスタチンなどで抑制されます。
[文献書誌] Morita Y: Melatonin Rhythm of Alzheimer Patients
今回は、このようにアメリカではとてもポピュラーな「メラトニン」の驚くべき健康効果や抗がん作用についてご紹介します。
Frontiers of Hormone Research.21
リオルダンクリニックでも実際ほとんどの患者さんががんの治療や転移予防、睡眠補助の目的でメラトニンを内服されています。私も時差ボケがなかなか治らずとても辛かった時にメラトニンを飲んでかなり助けられたのと、内服するとぐっすり眠れて疲れが取れる感じがするため、今では手放せないサプリメントの一つになっています。
メラトニンは昼間ほとんど分泌されず、夜間に分泌されている。視交叉上核 ..
サプリメントの種類も実に様々で、タブレットやカプセル、リポソーム化されたリキッドタイプのものや高容量で飲みたい人のための粉末タイプ、はたまた美肌目的で局所に塗るクリームなど、自分の好きなタイプのメラトニンを選ぶことができます。
メラトニンを長期投与したマウスの寿命に関する実験でも、メラトニン投与をしてい ..
アルツハイマー病と睡眠の意外な関係 認知症の予防は、まず質の高い眠りから
○メラトニン作動薬高齢者ではメラトニンの分泌量が減少する。 認知症患者では ..
「はじめに」メラトニンは良好な睡眠を保つ内因性のホルモンで,生後3ヵ月以後に松果体でトリプトファンから合成され,夜間に分泌されて睡眠誘導維持するための概日リズムが獲得される。夜間分泌量のピークは1~3歳で,以後は加齢とともにその産生量が減少に転じ(70歳以上になるとピーク時の10%程度),不眠の主要な原因となっている。最近,アルツハイマー病の発症病態に睡眠障害が深く関与していることに注目が集まっている1)。本稿では,メラトニンのアルツハイマー病発症予防・治療薬としての可能性を整理してみる。